島 樹 講師
Shima Tateru履正社医療スポーツ専門学校 理学療法学科講師
東京五輪・パラリンピックで
活躍できるトレーナーを育てたい。
水泳経験を活かしトレーナーの世界へ。
理学療法士の資格を取得したのは、ちょうど20年前の1995年です。水泳の経験があったため、スポーツ分野でも活躍できる理学療法士になれればと望んでいました。健常者の水泳のトレーナーをする傍ら、デイサービスセンターで地域の障がい者スポーツのサポートも行っていました。
こうした経験を評価していただき、1997年の大阪国体(ふれあいピック大阪)での全国身体障害者スポーツ大会で、大阪府選手団水泳チームコーチに選出されました。理学療法士の定員は2名だったので、とても嬉しかったことを覚えています。これが障がい者の水泳と本格的に関わる大きな一歩となりました。
ロンドンパラリンピックで銀メダル獲得に貢献。
100M平泳ぎの中村智太郎選手と出会ったのは、一般社団法人日本身体障がい者水泳連盟技術委員に任命された2006年。2004年のアテネパラリンピックで銅メダルを獲得していたため、2008年の北京パラリンピックではさらに上をめざしての挑戦でした。けれど結果は惜しくも5位に。その後のタイムも伸びず、ひざの違和感を訴えるようになりました。両腕を持たない中村選手は、日常生活でも足を酷使するため、ひざにダメージを受けている状態でした。
そこで2012年のロンドン大会を見すえ、思い切って手術に踏み切ることを勧めました。術後も共にトレーニングに励み、2011年のカナダでのパンパシフィック・パラリンピック水泳選手権では2位に。「これならいける!」という手応えは真実となり、2012年のロンドンパラリンピックで銀メダルを獲得することができたのです。
勝利のために最も大切なのは
選手と信頼関係を築くこと。
理学療法士やアスレティックトレーナーとしての専門知識、水泳の経験などは、選手をサポートするために不可欠ですが、最も大切なことは選手との信頼関係です。「遠慮しないで何でも言ってほしい」と伝えて、指導にあたってきました。その結果が銀メダルとなったわけですが、中村選手はリオでの金メダル獲得に向け、再び私と組みたいという意向を示してくれています。帯同できるかは未定ですが、彼の勝利を願ってやみません。
これから理学療法士をめざす人は、患者様や選手など、対象となる方を「良くしたい!」という気持ちを強く持っていただきたいと思います。また、学んだことは自分の体を動かしながら復習してみてください。理解しやすくなります。皆さんが素晴らしい理学療法士やトレーナーになるために、ベストを尽くしたいと思っています。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでの活躍を目標に、履正社でとことん学んでみませんか。